種子島酒造 芋づくり 種子島は日本初の鉄砲伝来の地であるほか、約300年前に琉球王朝から贈られたカライモ(サツマイモ)が日本で初めて栽培された地でもあります。
平坦で、海に近くてミネラル分を豊富に含んだ土壌、温暖な気候などの種子島の自然条件はサツマイモの栽培に最適。
種子島酒造の原料芋はすべて、西之表市内と中種子町に広がる約45haの自社農園で減農薬・有機栽培されています。
質のいい原料芋にこだわることはおいしい焼酎づくりにつながっています。
土づくり 種子島は、海底が隆起して出来た平坦な堆積岩の島なので、土中にミネラルが多く含まれ、鹿児島本土のサツマイモよりも糖度が高く、しかもでんぷん質が多いため完全発酵しやすいサツマイモが育つ土壌を有しています。
種子島の自社農園では、さらに貝化石や酵素を土壌に混ぜてミネラルや微量成分を補強するとともに、焼酎かすを堆肥として利用。
より良質のサツマイモが育っています。
白豊 糖度が大変高く食べると甘くて大変美味しい。
安納 種子島の安納地区に古くから伝わる芋。
種子島紫 アントシアニンによる鮮やかな発色で有名。
水へのこだわり おいしい焼酎づくりにとって大事なポイントとなるのが良質の水。
原料の芋や米に蒸気を吹き込んで蒸し、蒸留する時はモロミに蒸気を吹き込んで加熱していきます。
蒸気のもとはもちろん水です。
このほか、仕込みの時に水を加え、40度近いアルコール度数の原酒を25度の製品にするためには割り水を使います。
種子島酒造では、焼酎にとって命ともいえる水にこだわっています。
明治時代から操業している工場の地下306m、古代第3紀層の水脈に湧く「岳之田湧水」を焼酎づくりに使っています。
軟水系で鉄分の少ない清らかな天然深層地下水は、焼酎づくりにはまさに最適の水。
口に含むと甘く、とろりとした円い感触がします。
地下からの恵みである岳之田湧水に、原料芋や麹、作り手たちの技と思いが溶け込んで、郁(ふくいく)とした香り、まろやかな味、そして飲むたびに感動を覚える卓越した焼酎が出来上がるのです。
焼酎づくりにしろ、福山の黒酢づくりにしろ、かめ壷には不思議なパワーがあるようです。
米麹と焼酎酵母、水を入れてかきまぜてから5日から1週間。
この1次もろみに蒸した原料芋と水を加えてかきまぜ、さらに1週間から10日間ほどかけて発酵させた2次もろみを蒸留して焼酎がつくられます。
種子島酒造ではこの仕込みを、長年使っている古いかめ壷で行っています。
かめにある無数の小さな気孔を通してもろみがゆっくりと呼吸します。
上部だけ残してかめが地中に埋められているので内部の温度が一定に保たれます。
さらに遠赤外線効果や、丸い形が対流を促して気孔にすみついた蔵付き酵母の働きが活発となり、やわらかくてマイルドな焼酎が出来上がるのです。
「金兵衛」「むろか」以外の種子島酒造のほとんどの銘柄がこのかめ壷仕込みによってつくられています。